【2026年最新】不動産購入は法人と個人のどちらが有利?
個人と法人では、毎年の家賃収入にかかる税率や、将来の売却時の税金、そして相続対策としての効果がまったく異なります。今回は、個人と法人のどちらで不動産を購入すべきか判断するために必ず知っておくべき比較ポイントと、2025年12月に発表された「令和8年度税制改正大綱」による劇的なルール変更について解説します。
目次
- ○ 1.家賃収入に対する「毎年の税率」を比較
- ○ 2.不動産を売却するときの「譲渡所得税」を比較
- ○ 3.相続税対策で購入する場合の「5年ルール」の衝撃
- ・◆ 5年ルールと不動産小口化商品の新リスク
- ○ 4.「小規模宅地等の特例」と「生前贈与」のしやすさ
- ○ まとめ:不動産購入は最新税制を踏まえたシミュレーションが不可欠
1.家賃収入に対する「毎年の税率」を比較
個人と法人では、毎年の家賃収入に対する税金の計算方法が大きく異なります。
個人の場合、家賃収入は「不動産所得」として所得税の対象になります。所得税は「累進課税制度」が採用されているため、課税所得が増えるほど税率が高くなり、住民税と合わせると最大で約55%にも達します。
一方、法人で所有した場合は「法人税」が課されます。法人税は所得税とは異なり、利益の額に対してほぼ一定の税率となるのが特徴です。特に最新の税制改正大綱において、中小法人の所得に対する「年800万円以下の部分に対する15%の軽減税率」の適用期限がさらに延長されたため、2026年現在も法人の税率的優位性はしっかりと維持されています。
【税率の逆転ポイントの目安】
法人の実質的な税負担(法人実効税率)は、地方税などを合わせても約30%〜34%程度で頭打ちとなります。そのため、個人の課税所得が年間「800万円〜1,000万円」を超えるようであれば、個人の所得税率よりも法人の税率のほうが低くなるため、法人での不動産取得(法人化)が有利になります。
2.不動産を売却するときの「譲渡所得税」を比較
将来、その不動産を売却して利益(譲渡益)が出た場合の税金にも大きな違いがあります。個人が不動産を売却した際の「譲渡所得税」は、他の所得とは切り離して計算する分離課税となり、所有していた期間(売却した年の1月1日時点での年数)によって税率が大きく変わります。
- 長期譲渡所得(所有期間5年超): 税率 約20.3%(所得税・住民税・復興特別所得税)
- 短期譲渡所得(所有期間5年以下): 税率 約39.6%(所得税・住民税・復興特別所得税)
これに対し、法人が売却した場合は、所有期間に関係なく通常の法人税(実効税率約30〜34%)が課されます。したがって、5年以内の短期間で売却を想定している場合は法人が有利であり、5年を超えて長期保有した後に売却する場合は個人の方が有利になります。不動産投資において、短期転売を目的とするか、長期保有を目的とするかが出口戦略の分かれ道です。
3.相続税対策で購入する場合の「5年ルール」の衝撃
これまで、現預金で収益不動産(賃貸アパートやマンションなど)を購入すると、相続税評価額が時価(購入金額)の3割〜5割程度にまで下がるため、非常に有効な相続税の節税対策とされてきました。
しかし、令和8年度税制改正大綱により、このスキームに強烈な規制が。「貸付用不動産の評価方法の見直し(通称:5年ルール)」が導入されることが決定しました。この大改正により、節税目的の不動産購入の前提が180度変わることになります。
◆ 5年ルールと不動産小口化商品の新リスク
新しいルールでは、個人か法人かを問わず、以下の制限が課されることになります(2027年1月1日以後の相続・贈与から適用)。
- 購入・建築から5年以内の相続は評価減が使えない: 相続開始前(または贈与前)の5年以内に購入、あるいは新築した賃貸不動産は、従来の低い路線価評価ではなく、取得価額(購入価格)をベースにした新たな評価方法(目安として購入価格の8割)で課税されるようになります。相続直前の駆け込みによる節税効果は完全に失われます。
- 不動産小口化商品は時期を問わず「時価の8割評価」に: 少額から不動産投資ができることで節税商品として大変人気の高かった「不動産小口化商品」にいたっては、購入してから何年経っているかに関わらず、一律で時価ベース(取得価額の8割等)での評価へと厳格化されます。
※したがって、不動産による相続対策は、これまで以上に「お元気なうちからの早期の長期計画」が絶対条件となります。
4.「小規模宅地等の特例」と「生前贈与」のしやすさ
■ 小規模宅地等の特例の適用
亡くなった方の自宅や貸付事業用に使っていた土地の評価額を50%〜80%も減額できる強力な「小規模宅地等の特例」は、個人が所有している土地にのみ適用される制度です。法人名義で取得した土地には直接適用できないため、この特例を将来使いたいと考えている場合は個人で取得する必要があります。
■ 生前贈与のしやすさ
将来、所有している不動産を少しずつ生前贈与で子供に引き継がせたい場合は、法人所有のほうが圧倒的に有利です。個人の不動産(持ち分)を贈与するたびに法務局での登記手続きが必要となり、その都度「登録免許税」や「不動産取得税」といったコストが発生します。しかし法人の場合、不動産そのものではなく「法人の株式(出資持分)」を少しずつ贈与する形になるため、不動産の登記費用や取得税は一切かからず、非常にスムーズに財産を移転できます。特に最新の5年ルールの包囲網をかいくぐるためにも、法人株式を活用した早期の長期計画的な生前贈与は極めて有効な選択肢となります。
まとめ:不動産購入は最新税制を踏まえたシミュレーションが不可欠
不動産を個人で買うべきか、法人で買うべきかについては、「現在の個人の所得水準」「売却予定のタイミング」に加えて、令和8年度税制改正で決まった「5年ルール」の壁をどうクリアするかまでをトータルで加味しなければ、大きな損をしてしまうリスクがあります。
物件の契約手続きを進めてしまってからでは名義の変更や評価の挽回は不可能なため、不動産の購入を検討された段階で、必ず専門家による緻密なシミュレーションを受けることをお勧めします。
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