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認知症と財産管理

認知症のイメージ

我が国では、戦後の高度成長時代からバブル崩壊を経過すると共に少子高齢化、核家族化の時代となり、ここ数年は「独居老人世帯」が増加しています。

そんな時代背景の中で、老後生活をどのように過ごすか、年金だけでやっていけるのか、心配の種は尽きません。

体が不自由になってしまったら、子供たちは面倒みてくれるのだろうか、面倒をみてもらうための資金はどうするか、相続が「争続」とならないだろうか等々、悩みは増すばかりです。

今回は、高齢化にともなう様々な問題の中で、相続税に関連するものとして、認知症によって生じる財産管理の問題に焦点を当てて、認知症が発生した場合に生じる問題と、そうした問題に対する、認知症発症前と発症後のそれぞれの対処方法について、整理してみました。

目次

認知症を発症してしまった場合に起きる問題

認知症の問題

 認知症を発症してしまった場合次のような問題が起こります。

①本人名義の、銀行口座が凍結されてしまう

 認知症を発症した口座名義人が銀行に出向いた際に、銀行の窓口担当者が「口座名義人である本人が意思決定能力が著しく欠け、いわゆる認知症と思しき状態になっている」ということに気がつくと、そのまま銀行口座を凍結されてしまう場合があります。
 また、認知症になった本人の施設入所のために、家族が定期預金などを解約しようとして、本人と一緒に銀行へ出向いたところ、銀行の窓口担当者が認知症の状態に気づき、銀行口座を凍結されて場合もあります。
 いったん口座が凍結されてしまうと、例え口座名義人との関係が、戸籍謄本やマイナンバーカードなどによって書類上も親子であることが明らかに分かるような場合であっても、一切引き出し、解約は出来なくなってしまいます。
 なぜなら、預金は口座名義人本人の財産であり、その財産は、例え親族・子どもであっても、本人の意思が確認できない以上、勝手に引き出したりすることは一切認められないためです。

②土地・建物等の不動産の売買が出来なくなる

 親が認知症のため施設に入ることになった。親名義の不動産を売り、費用に充てたい。そんな場合でも、たとえ本人(親)のためであっても家族が勝手に不動産を売ることはできません。売却に際しては、本人の意思確認が必要となるからです。

③認知症発症者は相続人として遺産分割協議に参加出来なくなる

 例えば、法定相続人が母親と子供2人の相続であったときに母親が認知症だった場合、遺産分割協議が成立せず、法定相続分で分けることとなってしまいます。

 上記のように、認知症を発症してしまうと、本人名義の財産の移動や処分が困難となってしまいます。では、どのような対処手段があるのでしょうか。

認知症発症前の対処方法

エンディングノート

 認知症が発症する前であれば、次のような対処方法が考えられます。

①任意後見人を活用して支援者や財産管理の方法を決めておく

 この制度は、支援を受ける方の判断能力が十分なうちにご自分の意思で、誰にどのようなことをしてもらうかを決め、その内容をもって、任意後見人となる方と事前に任意後見人の契約を結び、認知症と診断された後は、その契約内容に沿って支援してもらう制度です。
 任意後見人には、家族や友人でもなることが出来ます。任意後見人制度を利用すれば、認知症と診断された後で、不動産を売却することも出来ます。

②家族信託を活用して親の財産管理の方法を決めておく
 
 信託とは、委託者(財産を預ける人)が自分の財産を信託財産として、受託者(財産を預かる人)に信託し、受託者は信託契約に定められた信託目的に従って、受益者(財産から利益を得る人)のために、信託財産の管理処分等を行う形態のことをいいます。
 信託は信託銀行が受託者となって、これまで行われてきましたが、2007年施行された新しい信託法のもとで、家族信託の利用が可能となり、様々な環境整備も徐々に進んだことで、一般的に利用されるようになってきました。
 家族信託を活用すれば、認知症となってしまったあとの財産管理を、信託契約に基づき家族に任せることが可能です。

③公正証書遺言で財産の分割方法を決めておいてもらう

 財産を誰に引き継いでもらいたいかという本人の意思を、公正証書遺言の形で残しておくことで、本人の意思を相続人間で勝手に解釈することによる争いを防ぐことが出来ますので、「争続」回避に一定の効果が期待できます。

④エンディングノートで遺言の代わりに財産と意思を示しておく

 遺言書のような法的効力はありませんが、本人の財産把握に役立てることが出来るだけでなく、本人の希望や思いを家族に伝えることが出来ます。
 エンディングノートは、相続人に公開せずに、本人が亡くなった後で見てもらうために利用することが多いと思いますが、相続税評価額の試算なども併せて行い、相続人に財産の分割方法を事前に説明しておくことで、より相続人間の争いを回避するために使うこともできます。

⑤生前贈与を活用して凍結される財産を減らしておく

 贈与税を確認しながら進めていく方法ですが、非課税制度を上手く利用して財産を贈与していくと、相続税対策としても効果的です。

認知症発症後の対処方法

裁判所と成年後見人

 認知症が発症してしまった後でも出来る対処方法は、成年後見人制度の活用しかありません。
 金融機関は、認知症の事実を知った時点で口座を凍結してしまいます。いったん口座を凍結されてしまうと、介護費用などを本人の口座から引き出すことも出来なくなってしまいます。
 こうなってしまうと、成年後見人を選任するほかありません。
 成年後見制度とは、認知症となった本人の財産と権利を守るために、本人に代わり必要な契約等を締結したり、財産を管理したりして、本人の保護を図ってもらう制度です。
 この成年後見制度は、本人の財産保護を目的とする制度のため、家庭裁判所の監視が入ってきます。例え、家族全員の合意があったとしても、本人の財産を減少させることは認められなくなってしまいます。
 成年後見制度を活用する際は、メリット・デメリットがありますので、専門家とも相談し制度をきちんと理解した上で利用することが必要です。

 親族が認知症となってしまった場合には、財産管理の面だけでも様々な問題が生じてきます。
 症状が出てきたかなと感じたら、出来る限り早く、準備を始めておきましょう。

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