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相続時精算課税について

相続時精算課税にいて

生前贈与で相続税対策を考える際に、贈与税申告の方法として、暦年課税にするか、それとも相続時精算課税を選択するかは、とても大きな判断の分かれ目になります。

相続時精算課税は一度選択すれば、後戻りできませんので、その内容を十分に理解した上で、使うか使わないかを選ぶようにしないと、大きな損失を被る可能性もあります。

そこで今回は、メリット・デメリットともに大きい相続時精算課税について、ご説明したいと思います。

目次

相続時精算課税とは?

相続時精算課税

相続時精算課税とは、60歳以上の父母又は祖父母から、20歳以上の子又は孫に対し、財産を贈与した場合に選択できる贈与税の制度です。
この制度を選択すると、その選択をした贈与者から贈与を受ける財産については、その選択をした年分以後すべてにおいて相続時精算課税が適用され、暦年課税を適用することはでなくなります。

相続時精算課税と暦年課税の大きな違いは、基礎控除の内容と税率、そして相続発生時の相続税計算への影響の3点になります。

①基礎控除の内容
暦年課税の場合には、毎年110万円の基礎控除があり、基礎控除以内の贈与については申告は不要になります。
一方で、相続時精算課税の場合には、基礎控除は累計2500万円となり、贈与税の申告は金額に関わらず必要になります。
②税率
暦年課税の場合には、10%~55%の累進税率、相続時精算課税の場合には、一律20%の税率となります。
③相続発生時の相続税計算
暦年課税については、相続発生前3年以内の贈与だけが、相続財産に加算されることになります。
一方、相続時精算課税については、贈与財産全額が、相続財産に加算されることになります。

この3点の違いによって、暦年課税を利用した方が有利なケースと、相続時精算課税を選択した方が有利なケースが出てくることになります。

相続精算課税制度を選択するには?

相続時精算課税を選択

相続時精算課税制度を選択する場合には、その贈与を受けた年の翌年2月1日~3月15日までの間(贈与税の申告書の提出期間)に納税地の所轄税務署長に対し、「相続時精算課税選択届出書」を贈与税の申告書に添付して提出しなければなりません。

また「相続税精算課税選択届出書」には、以下の書類を添付する必要があります。

①受贈者が贈与者の直系卑属(子又は孫)である推定相続人に該当する場合

 イ、受贈者の戸籍謄本又は抄本その他の書類で、次の内容を証する書類
  ・受贈者の氏名・生年月日
  ・受贈者が贈与者の推定相続人である子又は孫であること

 ロ、受贈者の戸籍の附票の写しその他の書類で、受贈者が20歳に達した時以後の住所又は居所を証する書類

 ハ、贈与者の住民票の写しその他の書類(贈与者の戸籍の附票の写し等)で次の内容を証する 書類
  ・贈与者の氏名・生年月日
  ・贈与者が60歳に達した時以後の住所又は居所

②受贈者が「非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除の特例」の適用を受ける特例経営承継受贈者である場合(受贈者が①に該当する場合を除く。)

 イ、贈与者の氏名、生年月日

 ロ、受贈者が贈与者からの贈与により特例対象受贈非上場株式等の取得をしたことを証する書類

 ハ、上記①のロ、ハの書類

なお、マイナンバー制度が導入されたことに伴い、各種申告書、申請書、届出書等を提出するには、個人番号カード等の一定の本人確認書類の提示又は写しの添付が必要となります。

届け出書類の添付書類は、主に相続時精算課税で贈与税の申告をする人が、相続人として将来相続税の申告をする人だということを確認するためのものになります。
相続時精算課税は、相続税申告時に精算することを前提とした仮の贈与税申告になりますので、このような確認書類が必要になるということでしょう。

贈与者が年の途中で死亡した場合でも選択できるか?

贈与者が贈与をした年の途中で死亡した場合でも、相続時精算課税を選択することは出来ます。
この場合には、贈与税の申告書を提出する必要はありませんが、「相続時精算課税選択届出書」の提出は必要になります。
提出期限は通常の場合とは異なり、次の①又は②のいずれか早い日までに、贈与者の死亡の時における住所地の所轄税務署長に提出します。

①贈与税の申告書の提出期限(贈与を受けた年の翌年3月15日))
②贈与者の死亡に係る相続税申告書の提出期限(相続開始の日の翌日から10ヶ月を経過する日)

但し、相続時精算課税を選択するメリットは、収益物件の収益の次世代への移転や、値上がりの可能性の高い財産の評価額固定といったところにありますので、贈与から相続発生までが短期間になる場合には、選択する意味はありません。
贈与者が贈与をした年の途中で死亡した場合に相続時精算課税を選択するのは、短期間で急激に贈与した財産の価格が上がった場合などレアケースに限定されることになります。

贈与税額と相続税額の計算方法

相続税額と贈与税額の計算方法

1.贈与税額の計算方法
 相続時精算課税の適用を受けた財産は、その選択をした年以後、相続時精算課税に係る贈与者とそれ以外の贈与者とを区分し、1年間に贈与を受けた財産の合計額を基に贈与税額を計算します。
 相続時精算課税を適用した財産に係る贈与税の額は、特別控除額(限度額は2,500万円で、既に前年以前に控除されている場合には残額が限度額)を控除した金額に、一律20%の税率を乗じて計算します。
 また、相続時精算課税を適用している贈与者以外の贈与者から贈与を受けた財産については、暦年課税の基礎控除額110万円を控除し、贈与税の税率を適用して計算します。
 ちなみに、相続時精算課税を適用する場合には、暦年課税の基礎控除額110万円の控除がないため、贈与を受けた財産が110万円以下であっても、贈与税の申告をしなければなりません。

2.相続税額の計算方法
 相続時精算課税を選択した者に係る相続税額は、相続時精算課税に係る贈与者が亡くなった時に、それまでに贈与を受けた、相続時精算課税の適用をうける贈与財産の価格と、相続や遺贈により取得した財産の価格との合計額を基にして計算した相続税額から、既に納めた相続時精算課税に係る贈与税額を控除して計算します。
 相続税額から控除しきれない贈与税については、相続税の申告により還付を受けることがでで、相続税の申告の必要がない場合でも、相続税の申告をすることにより、還付を受けることができます。
 この還付を受けるための申告書は、相続開始の日の翌日から起算して5年を経過する日まで提出することができます。

相続時精算課税は、上記のように、最終的には相続財産として相続税の対象になり、相続税を負担することになります。相続時精算課税を適用して納付した贈与税は、最終的には相続税との差額を計算して、納付・還付として精算しますので、贈与してもしなくても同じような気もします。
そこで、相続時精算課税のメリットとデメリットについて、整理してみたいと思います。

相続時精算課税のメリットとデメリット

相続時精算課税のメリットとデメリット

相続時精算課税のメリットは、贈与時の価格で相続財産の評価が出来ることと、贈与後に贈与財産から発生する収益・費用は、受贈者に帰属することから生じます。
メリットが発生する状況としては、次のようなケースが考えられます。

①贈与する財産の価格が、将来の相続発生時までに、大幅に値上がりすること
②贈与する財産から、将来の相続発生時までの間に、大きな収益があがること

①の場合には、相続時精算課税を使って贈与した結果、贈与した財産の相続税評価額を大幅に下げることとなり、相続税額を削減することが出来ます。
また、②の場合には、贈与しなかった場合には、大きな収益によって増加していたはずの相続財産を、受贈者に移転することが出来るので、相続税額を削減することが出来ます。

しかし、いずれの場合も期待通りの結果になるか、不確定なものですので、慎重にシミュレーションをしてから最悪の事態も考慮して選択することが必要です。

暦年課税の場合には、基礎控除が毎年使えることや、相続開始前3年以内の贈与以外は、相続財産に加算されないことなどのメリットがありますので、暦年課税のメリットとの比較も必要になります。

相続時精算課税の選択を検討する場合には、必ず専門家と相談しながら進めていただくことをお勧めします。

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