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相続税の税額控除について

相続税の各人ごとの納付税額を計算する最終段階で、計算された相続税額からマイナス出来るのが、相続税の税額控除です。

配偶者の税額控除や贈与税の税額控除については、別記事とさせていただき、今回は、未成年者の税額控除・障害者の税額控除・相次相続控除・外国税額控除の4つについて、整理したいと思います。

相続財産の評価減や債務控除と比べて、出てくる金額が小さいですが、最後の納付税額からの控除になるため、影響は意外と大きくなります。

目次

未成年者の税額控除

 未成年者の税額控除は、成人に達するまでの養育費等の負担を考慮して、相続人が未成年者で次の要件の全てを満たしている場合には、相続税の額から一定の金額を差し引くことが出来ます。
 ①居住無制限納税義務者又は非居住無制限納税義務者である
 ②被相続人の法定相続人である
 ③相続又は遺贈により財産を取得している
 ④20歳未満である
 なお、未成年者が相続を放棄している場合に遺贈により財産を取得した場合も、未成年者控除の適用を受けることができます。
 未成年者が非課税限度額の生命保険金を取得し、相続税額が算出されない場合でも、その未成年者が相続又は遺贈により財産を取得したものとされます。

未成年者の税額控除の金額

 未成年者控除の額は、その未成年者が満20歳になるまでの年数1年につき10万円で計算した額です。
 未成年者控除の額=(20歳-相続開始時の年齢)×10万円
 なお、未成年者の相続開始時の年齢は、1年未満の端数を切り捨てます。

未成年控除額が控除しきれない場合

 未成年者控除額が、その未成年者本人の相続税額より大きいため、控除額の全額が引き切れない場合は、その引き切れない部分の金額を、その未成年者の扶養義務者の相続税額から差し引きます。
 ここで、扶養義務者とは、配偶者、直系血族及び兄弟姉妹のほか、家庭裁判所の審判を受けて扶養義務者となった、三親等内の親族をいいます。
 また、三親等内の親族で生計を一にする者については、家庭裁判所の審判が無くても扶養義務者に該当するものとされます。

扶養義務者が2人以上いる場合

 控除を受ける扶養義務者が2人以上いる場合に、各扶養義務者が控除することができる金額は、次の①又は②となります。
 ①扶養義務者の全員が、協議により控除ができる金額の総額を各扶養義務者に配分し、その控除額を相続税の申告書に記載した場合における、その申告書に記載した金額
 ②扶養義務者の全員が控除することができる金額の総額を、各扶養義務者の相続税額の比によって按分して計算した金額

今回の相続以前に未成年者控除の適用を受けている場合

 過去に未成年者控除の適用を受けている場合は、①又は②のいずれか少ない方の金額が控除額となります。
 ①(20歳-相続開始時の年齢)×10万円
 ② 前の相続の際に現在の規定(20歳に達するまでの年数1年につき10万円)を適用して計算した金額-前の相続の際に本人及びその扶養義務者の相続税額から控除した未成年者控除額

障害者の税額控除

 次に掲げる要件の全てに当てはまる人は、障害者控除として一定の控除を受けることができます。
 ①相続や遺贈のよる財産の取得時に日本国内に住所がある (一時居住者で、かつ、被相続人が一時居住被相続人又は非居住被相続人である場合を除く。)
 ②被相続人の法定相続人である
 ③相続又は遺贈により財産を取得している
 ④85歳未満であり、かつ、障害者である

障害者控除の額

 障害者控除の額は、その障害者が満85歳になるまでの年数1年につき10万円で計算した額になります。
 特別障害者の場合は1年につき20万円となります。
 一般障害者の控除額=(85歳―相続開始時の年齢)×10万円
 特別障害者の控除額=(85歳―相続開始時の年齢)×20万円
 なお、障害者の相続開始時の年齢は、1年未満の端数を切り捨てます。
 障害者控除額が、その障害者本人の相続税額より大きいため控除額の全額が引き切れない場合は、その引き切れない部分の金額をその障害者の扶養義務者の相続税額から差し引きます。 
 ここで、扶養義務者とは、配偶者、直系血族及び兄弟姉妹のほか、家庭裁判所の審判を受けて扶養義務者となった三親等内の親族をいいます。
 また、三親等内の親族で生計を一にする者については、家庭裁判所の審判が無くても扶養義務者に該当するものとされます。

今回の相続以前に障害者控除を受けている時

 障害者が2回以上相続した場合は、2回目以降の控除額は前の相続による控除不足額が限度となります。
 過去の相続で障害者控除を受けている場合、①又は②のいずれか少ない金額が控除額となります。
 ①(85歳-2回目の相続開始時の年齢)×10万円(又は20万円)
 ② ①+(2回目の相続開始時の年齢-1回目の相続開始時の年齢)×10万円(又は20万円)-1回目の相続の際にその者及びその者の扶養義務者から控除した障害者控除額

一般障害者と特別障害者

・一般障害者
 身体障害者3~6級、精神障害者福祉手帳2~3級、療育(愛護)手帳3~4度、戦傷者手帳第4~第6項症該当者
・特別障害者
 身体障害者1・2級、精神障害者保険福祉手帳1級、療育(愛護)手帳1~2度(A)、戦傷者手帳第1~第3項症該当者
 また、原爆症認定を受けている方、成年被後見人の方、6カ月以上寝たきりで介護が必要な方も対象です。
 なお、介護保険において要介護認定を受けている場合に、障害者控除の適用を受けようとする場合には、別途「障害者控除認定書」の提出が必要です。

相次相続控除

 今回の相続開始前10年以内に被相続人が相続、遺贈又は相続時精算課税による贈与によって財産を取得し、相続税が課されている場合には、相続税の負担が過重にならないように、前回の相続税額のうち、一定の相続税額(1年につき10%の割合で逓減した後の金額)を控除します。
 次に掲げる要件の全てに当てはまる人が、相次相続控除の適用を受けることができます。
 ①被相続人の相続人である(相続放棄者及び相続権を失った者が遺贈により財産を取得した場合は適用不可。)
 ②その相続の開始前10年以内に開始した相続により被相続人が財産を取得している
 ③その相続の開始前10年以内に開始した相続により取得した財産について、被相続人に対し相続税が課税されている

相次相続控除の額

 相次相続控除は、前回の相続において課税された相続税額のうち、1年につき10%の割合で逓減した金額となります。
 各相続人の相次相続控除額は、次の算式により計算した金額となります。
 相次相続控除額=A×C(B―A)[この割合が1を超えるときは1]×D/C×(10-E)/10
 A:今回の被相続人が前の相続の時に課された相続税額 (相続時精算課税分の贈与税額控除後の金額をいい、延滞税、利子税、各種加算税の額は含まれません)
 B:被相続人が前の相続の時に取得した純資産価額(取得財産の価額+相続時精算課税適用財産の価額―債務及び葬式費用の金額)
 C:今回の相続、遺贈や相続時精算課税により財産を取得したすべての人の純資産価額の合計額
 D:今回のその相続人の純資産価額
 E:前の相続から今回の相続までの期間(1年未満の端数は切り捨て)
 ちなみに、被相続人から相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与により財産を取得した人のうちに農業相続人がいる場合は、次に掲げるとおりになります。
 A:その被相続人が農地についての相続税の納税猶予の適用を受けていた場合には、免除された相続税額以外の税額
 B:上記と同じ
 C:<分子として計算する場合>上記と同じ
   <分母として計算する場合>農業相続人が取得した特例農地等の価額を農業投資価格により計算した場合の今回の相続により相続人又は受遺者全員が取得した財産の価格(債務控除後の金額)
 D:その控除対象者が農業相続人である場合には、その者の取得した特例農地等の価額を農業投資価格により計算した金額
 E:上記と同じ

外国税額控除

 日本国外にある相続財産を取得した場合には、日本の相続税以外にその財産の所在地でも相続税に相当する税金が課される場合があります。
 この場合の、同じ財産に対する国際間の二重課税を回避するため、外国税額控除が設けられています。
 相続税の外国税額控除の適用を受けられる人は、下記の適用要件のいずれにも該当する人に限られます。
 ・相続又は遺贈により日本国外の財産を取得した者
 ・その財産の所在地国において相続税に相当する税が課税された者

外国税額控除額の計算

 相続税額から控除する外国税額は、その外国において課税された相続税に相当する税額です。
 ただし、以下の算式を超える場合には、その超える部分については控除できません。
 A×B/C
 A:贈与税額控除から相次相続控除までの諸控除を控除した後の相続税額
 B:外国に所在する財産の価格(その財産に係る債務を控除した額)
 C:相続又は遺贈により取得した財産の価格のうち課税価格の計算の基礎に算入された金
   額(債務控除後の金額)
 なお、外国税額を邦貨換算する場合には、原則として納付すべき日における対物客電信売相場(TTS)により計算します。

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