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配偶者居住権に対する相続税の取扱い

目次

配偶者居住権に対する相続税の取扱い

平成30年7月に相続に関する民法が改正され、「配偶者居住権」が創設されました。
配偶者居住権とは、相続が開始した時(被相続人が死亡した時)に被相続人の所有していた住宅に住んでいた生存配偶者について、原則としてその配偶者が亡くなるまでの間、その住宅に賃料などを支払うことなく住み続けることを認める権利です。

配偶者居住権が認められている範囲

1.適用対象
配偶者居住権の適用対象は建物全部になります。建物に居住用以外にテナント等がある場合には、それも含めて建物全体が配偶者居住権の対象となります。

2.存続期間
配偶者居住権の存続期間は原則として終身となります。
ただし、遺産分割協議などで存続期間を設定した場合はこの限りではありません。

3.利用方法
配偶者居住権の対象となる建物の利用方法は、相続開始前と同様でなければなりません。
建物の一部を居住用に使い、他の部分をテナントに賃貸している場合には、相続後も同様に利用しなければなりません。

配偶者居住権を取得する流れ

生存している配偶者が配偶者居住権を取得するには、被相続人の遺言書にその旨が記載されいているか、もしくは遺産分割協議で決める必要があります。
配偶者が亡くなったからといって、自動的に配偶者居住権を取得できるわけではありません。

配偶者居住権の評価

配偶者が取得した配偶者居住権及び敷地利用権は、以下のように評価し、相続税の課税対象とします。
相続人等が取得した配偶者居住権が設定された建物及び敷地等は、通常の評価額から配偶者居住権相当額を控除して評価し、相続税の課税対象とします。

1.建物

(1)配偶者居住権
建物の相続税評価額-建物の相続税評価額×残存耐用年数(※1)-存続年数(※2)/残存耐用年数(※1)×存続年数に応じた法定利率(※4)による複利現価率
(2)配偶者居住権が設定された建物(以下「居住建物」という)の所有権(居住建物所有権)
建物の相続税評価額-配偶者居住権の価額

2.土地

(1)配偶者居住権に基づく居住建物の敷地の利用に関する権利(敷地利用権)
土地の相続税評価額-土地の相続税評価額×存続年数に応じた民法の法定利率(※4)による複利現価率

(2)居住建物の敷地の所有権等(敷地所有権)
土地等の相続税評価額-敷地の利用に関する権利の価額

※ 「相続税評価額」とは、配偶者居住権が設定されていない場合の相続税評価額
※1 残存耐用年数…法定耐用年数(住宅用)×1.5-築年数
※2 存続年数…次の①又は②の年数
① 配偶者居住権の存続期間が終身である場合は、配偶者の平均余命年数
② ①以外の場合は、遺産分割協議により定められた存続期間の年数(配偶者の平均余命年数を上限とする)
※3 「残存耐用年数」又は「残存耐用年数-存続年数」がマイナスとなる場合は0とする
※4 民法の法定利率は2020年4月1日より3%となり、その後3年ごとに見直しがある

登記が必要

被相続人が居住していた場所の法務局に登記申請をします。
登記する場合は、従来の相続登記に配偶者居住権の登記が加わります。
配偶者居住権を登記する場合、建物の固定資産税額の0.2%の登録免許税がかかります。

配偶者短期居住権とは

配偶者居住権と似た権利に、配偶者短期居住権があります。
配偶者居住権の権利は終身となりますが、配偶者短期居住権には有効期間が設定されています。
その期間とは、相続開始から6ヶ月間、または、遺産分割が決まってその住宅を取得する人が決まった日とのいずれか遅い方となります。
また、配偶者居住権の対象は建物全体ですが、配偶者短期居住権の対象は建物の居住用部分のみとなります。
生存配偶者が配偶者居住権を取得できない場合でも、配偶者短期居住権は認められます。

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