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山林の納税猶予の特例

目次

山林の納税猶予の特例の概要

山林の納税猶予の特例とは、特定森林計画が定められている区域内に存する山林を有する被相続人から、一定の相続人(以下「林業経営相続人」という。)が相続又は遺贈により特例施業対象山林を取得し、自ら山林の経営(施業又はその施業と一体として行う保護)を行う場合に、その林業経営相続人が納付すべき相続税額のうち、特例山林に係る課税価格の80%に対応する相続税額が猶予される制度です。
猶予される相続税額を「山林納税猶予税額」といいます。

特定森林計画

「特定森林計画」とは、市町村長等の認定を受けた森林法第11条第1項に規定する森林経営計画であり、次の要件の全てを満たすものをいいます。

①対象となる山林が同一の者により一体として整備することを相当とするものとして、森林法施工令第3条の規定の基準に適合するもの。

②森林経営計画に森林法第11条第3項に規定する事項(山林の経営の規模拡大の目標及びその目標を達成するための必要事項等)が記載されている。

③①及び②の他、森林経営計画の内容が同一の者による効率的な山林の経営を実現するために必要とされる一定の条件を満たしている。

特例施業対象山林

「特例施業対象山林」とは、被相続人が相続開始直前に有していた山林のうち特定森林計画が定められている区域内に存するもの(森林の保護機能の増進に関する特別措置法第2条第2項第2号に規定する森林保護施設の整備に係る地区内に存するものを除く。)であり、次の要件の全てを満たすものをいいます。

①被相続人又は被相続人から山林の全部の経営の委託を受けた者により相続開始直前まで引き続き特定森林経営計画に従い適正かつ確実に経営が行われてきた山林である。

②特定森林経営計画に記載されている山林のうち作業路網の整備を行う部分が、同一の者により一体として効率的な施業を行うことができるものとして一定の要件を満たしている。

特例山林

「特例山林」とは、特例施業対象山林のうち、下記2の適用要件を満たしているものをいいます。

納税猶予を受けるための要件

この特例の適用を受けるためには、次に掲げる要件のすべてを満たす必要があります。

特例山林の条件

林業経営相続人が自ら経営を行い、次のいずれかに該当するもの

①市町村長の認定を受けた森林経営計画の区域内に存する山林(一定の地域内に存するものを除く)で、作業路網の整備を行う部分の面積の合計が100ha以上であるもの

②市街化区域内に所在する山林でないこと

③立木について、相続開始時における「後継者の平均余命」と「30年」のいずれか短い期間内に標準伐期を迎えないこと

被相続人の条件

次に掲げる要件のすべてを満たす者

①相続開始前に、森林経営計画に、山林経営の規模拡大に関する目標及びその目標を達成するために必要な作業路網の整備の記載をし、市町村長等の認定を受けている

②上記①の森林経営計画を単独で作成し、その計画に従って自ら山林経営を行っていることについて、当初認定日から相続開始直前まで引き続き農林水産大臣の承認を受けている

③自己が所有する山林の全部を相続又は遺贈により取得することが見込まれる推定相続人(後継者)について、農林水産大臣の確認を受けている

相続人(林業経営相続人)の条件

被相続人から相続又は遺贈によりその被相続人がその相続開始直前に有していたすべての山林(特定森林経営計画が定められている区域内に存するものに限る)を取得した個人で、次に掲げる要件のすべてを満たす者

①農林水産大臣の確認に係る被相続人の推定相続人である

②森林経営計画の実行体制が整っていることについて、農林水産大臣の確認を受けている

③相続開始時から申告期限までの間に、被相続人が所有していた山林(特定森林経営計画が定められている区域内に存するものに限る)のすべてを相続又は遺贈により取得し、そのすべてについて相続税の申告期限まで所有している

④被相続人から包括承継した森林経営計画に従って自ら単独で山林経営をおこなっている

納税猶予を受けるための手続き

(1)申告手続き

この特例の適用を受けるには、相続税申告書及び下記に掲げる書類を申告期限内に提出するとともに、山林納税猶予税額及び利子税に見合う担保を提供する必要があります。
なお、この特例は、特定計画山林の特例の適用を受ける場合には適用することができません。
また、相続税の申告期限までに特定森林経営計画が定められている区域内に存する山林について遺産分割ができていない場合にも適用を受けることができません。

  ・ 申告書(第8の3表、第8の3表の付表、第8の5表)
  ・ 戸籍謄本
  ・ 遺産分割協議書の写し及び印鑑証明書又は遺言書の写し
  ・ 特例の適用要件に該当する旨の市町村長の証明書
  ・ 特例の適用要件に該当する旨の農林水産大臣の証明書並びに確認書
  ・ 市町村長等の認定を受けた森林経営計画の計画書及び認定通知書の写し
  ・ 森林法第17条第2項の届出書の写し
  ・ 担保提供関係書類(登記事項証明書、固定資産税評価証明書等)
  ・ その他特例の適用要件を確認する書類

(2)納税猶予期間中の手続き

この適用を受けている林業経営相続人は、山林経営に関する事項を記載した継続届出書を必要書類(農林水産大臣の証明書等)とともに、原則として1年(当初の設定から10年を経過する場合は3年)ごとに、所轄税務署長に提出しなければなりません。
なお、継続届出書の提出がない場合は、原則として、この特例の適用は打ち切られ、山林納税猶予額と利子税を納付しなければなりません。

納税猶予税額の納付

(1)山林納税猶予税額を納付しなければならない場合

納税猶予を受けている相続税額は、次のいずれかに該当することとなった場合は、その相続税額の全部又は一部について利子税と併せて納付しなければなりません。

①森林経営計画の認定が取り消されたり、継続して認定を受けることができなか った場合
②特定森林経営計画が定められている区域内に存する山林について伐採、造林又は作業路網の整備のいずれも行わない年があった場合
③特例山林について、譲渡等又は路網未整備等があった場合
④特例山林に係る山林の経営を廃止した場合
⑤後継者の山林所得に係る収入金額が0円となった場合
⑥この特例の適用を受けることをやめる旨を記載した届出書を提出した場合
⑦継続届書の提出がなかった場合

(2)納付すべき税額に係る利子税

上記(1)により税額を納付する場合には、本税の他利子税を納付しなければなりません。
この場合の利子税は、相続税の申告期限の翌日から納税猶予の期限までの期間(日数)に応じ、原則として年3.6%の割合で計算します。
ただし、各年の特例基準割合※が7.3%に満たない場合は、以下の通りとなります。
   
  3.6%×特例基準割合※÷7.3% (注)0.1%未満端数切捨て

※特例基準割合

(平成25年12月31日まで)
各年の前年の11月30日において日本銀行が定める基準割引率に4%を加算した割合

(平成26年1月1日以降)
各年の前々年の10月から前年の9月までの各月における銀行の新規の短期貸出約定平均金利の合計を12で除して得た割合として各年の前年の12月15日までに財務大臣が告示する割合に、年1%の割合を加算した割合

納税猶予額の免除

後継者が死亡した場合には、その死亡の日から6月を経過する日までに、免除届出書を提出することにより、その死亡した時に納税猶予額に全部について納付が免除されます。

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