二次相続を見据えた相続税対策
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二次相続を見据えた相続税対策
一次相続では、相続税が大幅に減額できるいくつかの特例がありますが、一次相続での相続税ばかりにとらわれ過ぎていると、二次相続で結果的に多額の相続税を支払わなければならなくなり、結果的に損をしてしまう場合があります。
一次相続でどのように財産を分配するのが一番の得策なのか、二次相続を見据えてしっかりとした相続対策を行っていきましょう。
二次相続とは
両親のどちらか一方が亡くなって、配偶者とその子供が相続人になることを「一次相続」といいます。そして、一次相続で相続人となった配偶者が亡くなり、その子供だけが相続人となることを「二次相続」といいます。
二次相続の注意点
・基礎控除額の減額
相続税における基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算されます。二次相続では、相続人の数が一人減るため、基礎控除額が600万円減額され、課税される遺産の総額が高くなり、相続税額も高くなります。
・配偶者の税額軽減が使えない
相続税の配偶者控除とは、被相続人の配偶者が相続した遺産のうち、課税対象となる額の「1億6,000万円」もしくは「配偶者の法定相続分相当額」のいずれか多い金額まで相続税がかからないという制度です。大きな節税効果がある制度ですが、相続人が子供のみとなる二次相続においては適用することができません。
・小規模宅地等の特例が適用できない場合がある
小規模宅地等の特例とは、被相続人が居住用や事業用に供していた土地のうち、一定の要件を満たした場合に評価額を減額できるという制度です。この制度を適用すると、被相続人が居住していた土地の330㎡までの部分は相続税評価額を80%減額することができます。しかし、小規模宅地等の特例を子供が利用するためには、同居しているかどうか、申告期限まで所有しているかどうか等、一定の要件を満たす必要があります。
・相次相続控除
相次相続控除とは、10年以内に相次いで両親が亡くなった場合に受けることが出来る控除です。一次相続で配偶者に相続税が課税され、その後10年以内に二次相続が発生した場合に適用を受けることが出来ます。
二次相続を見据えた事前の対策
・一次相続での財産配分を考える
一次相続で配偶者の税額軽減を使い相続税を低く抑えられる場合であっても、二次相続で多額の相続税が発生してしまう場合があります。
二次相続を見据えた相続税のシミュレーションを行い、一次相続時点での配偶者と子供への財産分配を調整することをおすすめします。
将来的に価値の上昇が見込める財産を一次相続で配偶者が相続すると、二次相続の時点で課税対象となる財産の額が増えてしまいます。一方、配偶者の相続分を減らし過ぎてしまうと、配偶者の今後の生活に支障をきたしてしまう場合もあります。各家庭の様々な状況に応じて、分配を調整していきましょう。
・自宅は子供が相続する(同居の場合)
一次相続の時点で、子供が被相続人の自宅で同居している場合には、小規模宅地等の特例の適用を受けることができます。そのため被相続人の自宅を配偶者ではなく、あえて子供に相続させるというパターンもあります。
・生前贈与を利用する
一次相続後、配偶者の手許に財産が多くある場合には、二次相続が始まるまでの間、毎年子供や孫に贈与をして財産を減らしていく方法があります。
贈与税は年間の贈与税額が110万円までは発生しません。生前贈与をする場合は、贈与契約書を交わすなど、様々な注意点があります。
また、二次相続が始まった日以前3年以内に贈与された財産については、相続財産にふくまれます。
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