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不動産保有会社(法人化)で賢く節税!2つの活用事例と税務調査で否認されないための注意点

個人資産家を取り巻く所得税や相続税・贈与税の負担は、相次ぐ税制改正によって年々厳しさを増しています。その一方で、企業の国際競争力を高める目的などから、法人税率は低く抑えられた状態が続いています。


このような背景から、個人で所有している不動産を「不動産保有会社(法人)」に移す、あるいは会社で運用することで、税負担を劇的に軽減する「法人化」に注目が集まっています。


今回は、不動産保有会社を活用した代表的な2つの事例と、税務調査で指摘を受けないための重要な注意点について解説します。

目次

事例1:青空駐車場に会社名義で賃貸建物を建てて活用する

青空駐車場を個人で経営している場合、不動産保有会社へ支払える「管理料」は売上の数パーセント程度に限られるため、会社への所得分散(所得税対策)の効果はわずかしか得られません。また、土地所有者に相続が発生した際、その駐車場は「自用地(更地)」として評価されるため、相続税の評価減が一切受けられないというデメリットがあります。
そこで、立地条件が良く有効活用に向いている土地であれば、「土地は個人(親)から会社が賃貸し、建物は会社名義で建築して賃貸経営を行う」という手法が効果的です。
建物を法人所有にすることで、賃料収入を子や孫に役員報酬として正当に分散できるようになり、将来の相続税の納税資金をあらかじめ相続人側に蓄えさせることが可能になります。さらに、土地も「貸家建付借地権」などとして評価が下がるため、相続税の大幅な節税が期待できます。
ただし、実行に移す際には以下の3点に注意が必要です。

注意①:借地権の「認定課税」への対策が必須

個人の土地を自分の会社に貸し出すと、税務上、会社に「借地権(権利金)」の贈与があったとみなされ、多額の税金がかかるリスク(借地権の認定課税)が生じます。
これを回避するためには、土地所有者(個人)と会社との連名で、速やかに「土地の無償返還に関する届出書」を税務署長へ提出するか、定期借地契約を締結するなどの法的な手続きが絶対に欠かせません。

注意②:できるだけ多くの自己資金を準備する

建物の建築資金を100%銀行からの借入金に頼ってしまうと、毎月の賃料収入から固定資産税や地代を支払い、さらに借入返済を行うと、会社の資金繰りが逼迫してしまいます。よほどの好条件物件でない限り、子や孫に十分な役員報酬を支払う余裕がなくなってしまいます。
そのため、会社運営のキャッシュフローを安定させるには、最初の建築資金の一部を土地所有者(親など)からの「出資」や「手元資金」で補うのが理想的です。
親が出資したお金は将来「会社の株式」の価値として相続税の対象になりますが、将来の相続発生時に会社から遺族へ「死亡退職金」を支給するなどの計画をあらかじめ立てておくことで、株価を引き下げつつ、確実な納税資金を遺族に残す一石二鳥の対策が可能になります。

注意③:中長期(3年以上)の対策として計画する

もし、近い将来に相続が発生する可能性が高い(オーナー様のご高齢や体調不安など)場合は、注意が必要です。
会社が不動産を取得してから3年間は、会社の株式評価においてその不動産が「通常の取引価格(時価)」で評価されてしまうという税法上のルール(3年縛り)があります。そのため、不動産保有会社の設立は、オーナー様がまだお元気なうちから「中長期の計画」としてスタートさせるのが成功の鉄則です。

事例2:収益性の高い個人所有の中古物件を会社へ譲渡する

すでに個人でアパートやマンションなどの高収益物件を所有しており、個人の所得税率が跳ね上がっている場合、その「建物のみ」を不動産保有会社へ売却(譲渡)する手法が非常に有効です。
売却した翌月からは、これまで個人に入っていた多額の家賃収入がすべて会社のものになります。所得を家族に分散して毎年の所得税を大きく抑えながら、親の預貯金(=将来の相続財産)がこれ以上増えていくのをストップさせることができます。
実施の際には、以下の4つのポイントに注意します。

注意①:建物は原則として「適正な時価」で譲渡する

建物を親から会社へ売却する際、価格を自由に決めて良いわけではありません。必ず親族間・同族会社間における「適正な時価」で取引する必要があります。
実務上は、不動産鑑定士による鑑定評価や、税法上弊害がないとされる「定額法による減価償却後の未償却残高(帳簿価格)」を参考に売買価格を決定します。なお、形式的な売買と疑われないよう、実際の売買代金の授受(資金移動)や所有権移転登記を確実に行うことが大前提です。

注意②:こちらも借地権の認定課税への配慮が必要

事例1と同様に、建物だけを会社に移すと「土地の利用権」が問題になります。必ず土地所有者(個人)と会社の間で「土地の無償返還に関する届出書」を提出し、税務上のトラブルを未然に防ぎましょう。

注意③:会社の資金調達能力と「金銭消費貸借契約」の合理性

会社が親から建物を買い取るための資金を、銀行から融資してもらえるかどうかが課題となります。
もし銀行融資が難しい場合は、親から会社へ購入資金を貸し付ける形(親に対する未払金や借入金とする方法)をとることもあります。その場合は、身内だからと甘くせず、しっかりとした「金銭消費貸借契約書」を作成し、合理的な返済計画(利息の設定など)を定めて実態を証明しなければなりません。

注意④:契約書の書き換えなど「実態の整備」が税務調査の成否を分ける

建物の所有者が個人から会社に変わった場合、以下のような事務手続きをすべて完璧に行う必要があります。
・ 建物の売買契約書の作成と登記
・ 入居者(借家人)へのオーナー変更の通知と、賃貸借契約の引き継ぎ確認
・ 家賃振込口座の変更手続き
・ 敷金や保証金の預かり金の引き継ぎと、それに伴う実際の資金移動

税務調査では、これらの書類や通帳の履歴が「実際の日付で、正しく行われているか」を非常に厳しくチェックされます。

まとめ:不動産保有会社の設立は「事前のシミュレーション」がすべて

不動産保有会社を活用した法人化は、毎年の所得税を抑え、将来の相続税を大きく削減できる非常に強力なパッケージです。しかし、クリアすべき税法上のハードルや、クリアしなければならない実務手続きは多岐にわたります。

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