居住用財産(マイホーム・空き家)を売却した時の特例【2026年最新の法改正対応】
相続した居住用不動産を売却して、納税資金に充てたり、遺産分割の際の代償金の財源としたりするケースがよく見られます。この場合、相続税を支払って取得した不動産を売却するにも関わらず、売却益部分に税金がかかってしまいます。
この税金によってご遺族の生活資金が不足してしまわないよう、税負担を大幅に軽減できる「居住用財産を売却した時の特例(3,000万円特別控除)」が設けられています。 本記事では、2024年(令和6年)に大きく変わった「空き家特例のルール変更」も踏まえ、最新の要件をわかりやすく解説します。
目次
- ○ 居住用財産を売却した時にかかる税金の基本
- ・特例を受けるための適用要件
- ・適用を受けるための手続き
- ・10年超所有軽減税率の特例との併用
- ・【注意】住宅ローン控除との併用は不可!
- ・【2024年法改正】相続した空き家を売却した場合
- ・【重要】売却前に必須!「相続登記の義務化」について
居住用財産を売却した時にかかる税金の基本
相続した不動産を売却した時に、利益(譲渡所得)が発生すると「譲渡所得税・住民税」がかかります。
【譲渡所得の計算式】
譲渡所得 = 譲渡収入金額 - (物件の取得費 + 売却費用)
物件の取得費(いくらで買ったか)がわかっている場合には、それほど利益がでないケースも多いのですが、相続した不動産の場合、先祖代々の土地などで「取得費が分からない」ケースも多くなります。
この場合、物件の取得費は「譲渡収入金額(売却金額)の5%」とみなされてしまうため、譲渡所得が多額となり、結果として多額の税金が発生するケースも少なくありません。
【譲渡所得税・住民税の計算式】
譲渡所得税・住民税 = (譲渡所得 - 特別控除額) × 税率
税率(所得税・住民税合計)は、不動産の所有期間が5年以下の場合は「短期譲渡所得」となり39.63%、5年超の場合は「長期譲渡所得」となり20.315%で計算されます。
この計算において、居住用財産の売却時には、所有期間の長短にかかわらず譲渡所得から最高3,000万円まで差し引くことができる特例があります。これを「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」といいます。
特例を受けるための適用要件
特例を受けるためには、以下の1~6の要件を全て満たしていることが必要になります。
1.下記のいずれかを満たす居住用財産であること
①現在、主に住んでいる自宅である。
②すでに転居している場合、転居後3年を経過する日の属する年の12月31日までの売却である。
③建物を解体する場合、②の範囲内で、解体から1年以内に土地の売買契約を締結している。
④建物を解体してから売買契約を締結した日までに、その敷地を貸駐車場等の用に供していないこと。
⑤単身赴任の場合、配偶者が住んでいる建物も認められる。
2.売却した年の前年及び前々年に、この特例又は居住用財産についての損益通算及び繰越控除の特例の適用を受けていないこと。
3.売却した年の前年及び前々年に、居住用財産の買換えや交換の特例を受けていないこと。
4. 売却した家屋や敷地について、収用等の場合の特別控除など、他の特例の適用を受け ていないこと。
5. 災害によって滅失した家屋の場合は、住まなくなった日から3年を経過した日の属する年の12月31日までに売却すること。
6.売手と買手が、親族や夫婦、同族会社など、特殊な関係でないこと。
適用を受けるための手続き
この特例の適用を受けるためには、以下の書類を添えて確定申告をすることが必要です。
・確定申告書、譲渡所得の内訳書
・戸籍の附票(契約日の前日の住所と住民票記載の住所が異なる場合)
・譲渡した土地、建物の全部事項証明書
・売却時の書類の写し
・取得時の書類の写し
・住民票の写し、あるいはマイナンバー(個人番号)がわかる書類の写し
10年超所有軽減税率の特例との併用
居住用財産を売却した時点で10年以上所有していた場合、長期譲渡所得の税額より低い税額で計算する軽減税率を適用することができます。
具体的には、売却益が6,000万円以下であれば、税率(所得税・住民税合計)は14.21%に設定されています。
3000万円の特別控除の適用要件に加え、売却した年の1月1日において、所有期間が10年を超えていること、前年及び前々年においてこの特例の適用を受けていないことが要件となります。
この特例を3000万円の特別控除と併用することで、更なる節税効果を期待することができます。
【注意】住宅ローン控除との併用は不可!
不動産を売却した後、新たに新居(マイホーム)を購入して「住宅ローン控除」を使おうとお考えの方は要注意です。
「3,000万円の特別控除」と「新居の住宅ローン控除」は併用することができません。
どちらの特例を使ったほうが最終的にお得になるかは、売却益の額や住宅ローンの借入額によってケースバイケースです。ご自身の判断で進める前に、必ず専門家によるシミュレーションを受けることをお勧めします。
【2024年法改正】相続した空き家を売却した場合
マイホームの売却とは別に、親から相続した「実家(空き家)」を売却した場合でも、譲渡所得から最高3,000万円控除できる特例があります(被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例)。
特例の対象となる空き家の主な条件は以下の通りです。
・昭和56年5月31日以前に建築されたものであること
・区分所有建物登記がされている建物でないこと(マンションは不可)
・相続開始の直前において、亡くなった親以外に居住をしていた人がいなかったこと
・相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること
★2024年(令和6年)1月1日以降の重要なルール変更
法改正により、特例の期限が「令和9年(2027年)12月31日」まで延長されるとともに、使い勝手が大きく変わりました。
【メリット】売却後の解体・耐震工事でもOKに!
これまでは、売却する「前」に相続人が自費で家を取り壊すか、耐震リフォームをしなければ特例が使えませんでした。しかし現在では、売却した後(買った人)が翌年2月15日までに耐震改修や取り壊しを行えば、特例が適用できるようになりました。急いで自費で解体する負担が軽減されています。
【注意点】相続人が3人以上いると控除額が下がる
控除額は最高3,000万円ですが、相続人が「3人以上」いる場合は、1人あたりの限度額が最高2,000万円に引き下げられましたのでご注意ください。
【重要】売却前に必須!「相続登記の義務化」について
相続した不動産を売却するためには、亡くなった親からご自身への「名義変更(相続登記)」が完了している必要があります。
2024年4月から相続登記は義務化されています。これを放置していると不動産の売却手続きに進むことができず、また過料の対象となるリスクもあるため、早めの対応が必須です。
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