【2026年最新】知らぬ間に税金がかかる「みなし贈与」とは?低額譲渡や保険金の盲点を税理士が解説
贈与とは、お互いの合意のもとで財産をタダであげる契約のことです。年間110万円の基礎控除を超えるともらった人に贈与税がかかることはよく知られています。
しかし、本人は贈与をした、あるいはもらったというつもりがまったくなくても、実質的にそれと同じ経済的な利益を受けたとみなされて、後から高い贈与税を課されてしまう仕組みがあります。これを「みなし贈与」といいます。今回は、家族間で行った親切な取引が税務署からペナルティを科される原因にならないよう、みなし贈与の代表的なケースと注意点について、相続税専門の税理士が分かりやすく解説します。
目次
- ○ 1.「贈与」と「みなし贈与」の決定的な違い
- ○ 2.みなし贈与に該当する3つの代表的なケース
- ○ 3.生前贈与の最新税制と「みなし贈与」のリスク
- ○ まとめ:多額の財産を動かす前には必ず専門家にシミュレーションを
1.「贈与」と「みなし贈与」の決定的な違い
法律上の「贈与」は、あげる側が「あげます」、もらう側が「もらいます」というお互いの明確な意思表示(贈与契約)があって初めて成立するものです。
これに対して「みなし贈与」は、当事者間に贈与の契約や意識がまったくなかったとしても、結果として一方が著しく得をして、もう一方が損をしているような取引があった場合に、税法上で「実質的に贈与があったのと同じ経済効果が生じている」と判断されて税金が課される仕組みを指します。
税務署は形式的な契約書の有無だけでなく、お金や財産がどのように動いて誰が利益を得たかという「実態」を厳しくチェックしています。そのため、家族間での親切心や、税金を安くしようと意図的に仕組んだ不自然な売買などは、このみなし贈与に引っかかる可能性が非常に高くなります。
2.みなし贈与に該当する3つの代表的なケース
日常の実務において、みなし贈与として税務調査で指摘を受けやすい代表例は以下の3つです。
■ (1)親族間での「著しく低い価額」での不動産売買(低額譲渡)
時価よりも圧倒的に安い金額で財産を譲り受けた場合、その売買価格と実際の時価との「差額」の部分がみなし贈与とされ、もらった側に贈与税が課税されます。(※遺言によって安く譲り受けた場合は相続税の対象となります)。
【具体例】
親が所有する時価5,000万円の土地を、子供に2,000万円で売却した場合。
差額である 5,000万円 - 2,000万円 = 3,000万円が「親から子へのみなし贈与」と判定され、子供に高額な贈与税が課せられます。
何をもって「著しく低い」とするかの明確な数値基準は法律上ありませんが、過去の判決(平成19年8月23日)では、時価(公示価格等)の80%未満の価格による売買は「著しく低い価額」に該当するという見解が示されています。親族間であっても、不動産を動かすときは適正な価格設定が不可欠です。
■ (2)保険料を払っていない人が受け取った「生命保険金・定期金」
生命保険金や満期保険金、損害保険金などを受け取った際、その保険料(掛金)を自分ではなく「別の誰か」が全額または一部負担していた場合、負担していなかった部分の保険金はみなし贈与財産となり、贈与税が課されます。
例えば、契約者(保険料負担者)が父親、被保険者が母親、受取人が子供となっている生命保険において、母親が亡くなって子供が死亡保険金を受け取った場合、子供は1円も保険料を払わずに大金を得たことになるため、父親から子供への「贈与」とみなされます。(※契約者と受取人が同じなら所得税、契約者と被保険者が同じなら相続税となり、関係性で税金の種類が劇的に変わります)。
■ (3)借金をタダにしてもらった、代わりに払ってもらった(債務免除・肩代わり)
親や知人からの借金を「もう返さなくていいよ」と免除(債務免除)してもらって利益を受けた場合や、自分の代わりに親が借金を一括で返済してくれた(代位弁済・肩代わり)場合も、その免除された金額や肩代わりしてもらった金額そのものが、みなし贈与として贈与税の課税対象になります。口座間での単なるお金の移動であっても、税務署の資金移動調査で発覚する典型的なパターンです。
3.生前贈与の最新税制と「みなし贈与」のリスク
生前贈与は、近年の大改正(暦年課税の持ち戻し期間が7年へ延長されたことや、新しくなった相続時精算課税制度に110万円の基礎控除枠が新設されたことなど)によって、正しく使えば非常に高い節税効果を発揮します。
しかし、これらはすべて正しいルールと適正な価額で行う通常の贈与契約が前提です。仕組みを知らないまま我流で不動産を安く譲渡したり、保険の契約者を設定したりして後から「みなし贈与」と判定されてしまうと、各種の非課税特例や税額軽減の恩恵を一切受けられず、本来払う必要のなかった重い税金を課されることになりかねません。家族の間でお金や不動産を動かす前には、事前の確認が最大の防衛策となります。
まとめ:多額の財産を動かす前には必ず専門家にシミュレーションを
お金や不動産のやり取りは、後から軌道修正しようとしても税務署への言い訳が立たないケースが大半です。良かれと思って始めた家族間のサポートで大損しないよう、実行する前に必ず土地の評価や贈与税に精通した専門家へご相談ください。
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