【2026年最新】他人の土地に家を建てている場合の相続税は?「借地権」の種類と評価方法を税理士が解説
親が地主から土地を借りて、その上に自宅を建てて暮らしているケースは珍しくありません。このように「建物を建てる目的で他人の土地を借りる権利」のことを借地権といいます。
他人の土地であっても、借地権は目に見えない財産として相続税や贈与税の課税対象となるため、相続が発生した際にはその権利の価値を正しく計算して申告しなければなりません。今回は、非常に複雑な借地権の種類や、新旧の法律による違い、そして相続税における具体的な評価方法について、相続税専門の税理士が分かりやすく解説します。
目次
- ○ 1.借地権の種類と「旧法・新法」の大きな違い
- ○ 2.新借地借家法における「普通借地権」と「定期借地権」
- ○ 3.相続税における「借地権の評価方法」
- ○ まとめ:借地権の相続手続きと評価は専門知識が必須です
1.借地権の種類と「旧法・新法」の大きな違い
借地権には、契約がいつ結ばれたか、どのような目的で借りているかによって複数の種類が存在します。特に相続の実務において重要なのが「旧借地法」と「新借地借家法」の違いです。
- 旧借地法(平成4年7月31日以前の契約): 借りる側(借地人)の権利が極めて強く守られており、地主は正当な理由がない限り契約の更新を拒否できません。また、建物の種類(木造か鉄筋コンクリート造かなど)によって存続期間が異なります。一度借りたら半永久的に土地を使い続けることができる非常に強い権利であり、現在相続を迎えるご実家の借地権の多くは、この旧法によるものです。
- 新借地借家法(平成4年8月1日以降の契約): 旧法の反省から、地主にも配慮したルールが整備されました。建物の構造による区別がなくなり、更新が可能な「普通借地権」と、契約期間の満了後に必ず土地を更地にして返還しなければならない「定期借地権」の2つに大きく分けられました。
2.新借地借家法における「普通借地権」と「定期借地権」
平成4年8月以降に結ばれた新しい契約では、以下の種類に分けられます。ご自身の契約書がどれに該当するか確認してみましょう。
- 普通借地権: 契約期間は決まっていますが、更新が可能な借地権です。存続期間は当初30年、1回目の更新は20年、それ以降は10年ごとに設定されます。
- 一般定期借地権: 住宅用として使われる、契約期間が50年以上の借地権です。契約満了後は更新されず、建物を解体して土地を地主に返還する必要があります。
- 建物譲渡特約付借地権: 契約期間が30年以上の定期借地権で、契約満了時に地主が建物を買い取る(譲渡する)ことが特約として定められているものです。
- 事業用定期借地権: 商業施設や店舗など、事業目的に限定して土地を借りる定期借地権です。契約期間は10年以上50年未満と定められています。
- 一時使用目的の借地権: 建設工事の仮設事務所やイベント用の建物など、一時的な使用を目的とする借地権です。
3.相続税における「借地権の評価方法」
借地権の相続税評価額は、その借地権の種類によって計算方法がまったく異なります。
■ 普通借地権(および旧借地法による借地権)の場合
評価額 = 自分が所有している土地(自用地)と仮定して計算した評価額 × 借地権割合
国税庁の路線価図を見ると、道路の金額の隣に「300C」などのアルファベットが記載されています。この「C」が借地権割合(Cなら70%)を表しています。住宅地では概ね60%〜70%に設定されていることが多く、土地全体の価値のうち6割〜7割という非常に大きな金額が、借地権の価値として課税対象になります。
■ 定期借地権の場合
契約満了までの残り期間や、借地権者に帰属する経済的利益(権利金や保証金の有無など)を基に、複雑な複利計算を用いて評価します。土地を返還しなければならないため、残り期間が短くなるにつれて、借地権の評価額も少しずつ下がっていくのが特徴です。
■ 一時使用目的の借地権の場合
通常の借地権ではなく「雑種地の賃借権」と同じように評価します。賃借権の登記があるなど権利が強い場合は「自用地価額 × 法定地上権割合と借地権割合の低い方」、それ以外の場合は「自用地価額 × 法定地上権割合 × 1/2」として計算します。
まとめ:借地権の相続手続きと評価は専門知識が必須です
借地権の相続税評価は、契約書に記載されている契約年月日を正しく読み取り、旧法か新法か、普通か定期かを正確に見極めることからスタートします。特に昔からの口約束で契約書が存在しない場合や、地代の支払い状況が曖昧な場合などは、税務署との見解の相違が生まれやすく、慎重な事実確認と高度な専門判断が求められます。
また、借地権を相続した後に建物を建て替えたり、第三者に売却したりする際には地主の承諾(名義書換料などの支払い)が必要になるなど、税金面以外のトラブルも発生しがちです。
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