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【2026年最新】所得税の準確定申告とは?期限は4ヶ月!計算方法や必要経費・届出書を税理士が解説

個人事業主や不動産オーナー、あるいは一定以上の給与・年金収入があった方が年の途中で亡くなった場合、その年の1月1日から死亡した日までの所得を計算し、代わりに確定申告を行う必要があります。これを「所得税の準確定申告(じゅんかくていしんこく)」といいます。


通常の確定申告の期限は翌年の3月15日までですが、準確定申告の期限は「亡くなったことを知った日の翌日から4ヶ月以内」と非常にタイトです。この期限を過ぎてしまうとペナルティの税金がかかるため、相続が発生したらすぐに準備を始めなければなりません。今回は、準確定申告の対象者や期限、所得・経費の計算方法、事業を引き継ぐ場合の各種届出書について解説します。

目次

1.所得税の準確定申告とは?期限と3つの対象パターン


準確定申告は、亡くなった方(被相続人)に代わって、相続人が全員連名で行う確定申告です。状況に応じて以下の3つのパターンに分けられます。




  • ① 確定申告が必要な人が死亡した場合(義務): 被相続人が個人事業主や家賃収入のある不動産オーナーだった場合、または給与収入が2,000万円を超えていた場合などです。相続開始を知った日の翌日から4ヶ月以内に申告と納税を済ませる必要があります。※前年分の確定申告をしないまま3月15日までに死亡した場合も、その前年分について4ヶ月以内に準確定申告が必要です。

  • ② 事業等で赤字(損失)が出ていた場合(任意): 赤字の申告(損失申告)をすることで、翌年以降に手続を引き継ぐ相続人が税負担を軽減できる場合があります。こちらも期限は4ヶ月以内です。

  • ③ 税金が戻ってくる場合(還付申告): 被相続人に確定申告の義務はなくても、多額の医療費がかかっていたり、源泉徴収税額や予定納税額が多すぎたりした場合は、還付を受けるための準確定申告が可能です。この還付申告に限り、期限は亡くなった日の翌日から5年以内となります。


2.相続開始年における「所得金額」の計算と注意点


被相続人の準確定申告に含めるべき「所得」は、1月1日から亡くなった日までに確定した金額となります。所得の種類ごとに以下のルールがあります。




  • (1)不動産所得・事業所得: 相続開始の日までに生じた売上や利益を計上します。死亡した翌日以降に発生した家賃や事業売上は、その事業や物件を引き継いだ「相続人の所得」として、相続人自身の確定申告で計算します。※不動産の遺産分割が決まらない未分割の期間に発生した家賃収入は、実際の管理者が誰であれ、各相続人が「法定相続分」に応じて按分して各自申告しなければなりません。後から遺産分割が確定しても、過去の未分割期間の所得を修正することはできません。

  • (2)配当所得: 亡くなるまでに実際に支払いを受けた配当金だけでなく、配当の基準日が死亡日以前にあり、まだ支払われていない未払配当や配当期待権も準確定申告に含めます。

  • (3)給与所得・年金所得・退職所得: 支給日(給与振込日など)が「死亡日よりも後」に到来するものについては、被相続人の所得ではなく、本来の「相続財産」として扱われるため所得税は非課税(相続税の対象)となります。なお、被相続人がもらうはずだった未支給年金を遺族が受け取った場合は、受け取った遺族の一時所得として課税されます。

  • (4)譲渡所得(不動産の売却など): 被相続人が不動産の売買契約を結んだあと、引き渡しを完了する前に死亡した場合、原則である「引き渡し日」を基準にして相続人の確定申告とするか、特例である「契約日」を基準にして被相続人の準確定申告とするかを、相続人が有利な方を選択できます。


3.間違いやすい「必要経費」と「所得控除」の取り扱い


経費や控除の線引きを間違えると、税務署から否認される原因になります。実務上、最も間違いが起きやすいポイントです。



■ 必要経費の算定ルール



  • 固定資産税: 相続開始前に税務署や役所から納税通知書が届いていれば、未払いの分であっても全額(または納期到来分)を被相続人の経費にできます。通知書が届く前に死亡した場合は、物件を引き継いだ相続人の経費になります。

  • 事業税: 相続開始前に通知書が届いていない場合で事業を廃止するときは、以下の算式で求めた「事業税の見込額」を準確定申告の経費に算入できます。


    事業税の見込額 = (課税見込額を控除する前の所得 + 青色申告特別控除額 - 月按分した事業主控除額) × 事業税率 ÷ (1 + 事業税率)


  • 減価償却費: 1月1日から死亡日までの期間を「月割り計算」して被相続人の経費にします。引き継いだ相続人は、開始から年末までの月割りを自分の経費にします。※注意点として、資産の取得価額や耐用年数は引き継ぎますが、償却方法(定率法など)は引き継げないため、相続人は原則として定額法が適用されます。



■ 所得控除の判定ルール(医療費控除など)



  • 医療費控除: 死亡日までに「被相続人が実際に支払った金額」のみが対象です。死亡後に発生した入院費の精算や、相続人が代わりに支払った医療費は、被相続人の準確定申告には含められません(※生計を一にしていた相続人が支払った場合は、その相続人自身の確定申告で医療費控除にできます)。

  • 社会保険料・生命保険料控除: 死亡日までに被相続人の口座から引き落とされたり、支払ったりした金額が対象です。

  • 扶養控除・配偶者控除の判定: 控除の対象となるかどうかの親族の所得要件は、すべて「死亡日時点の現況」での年間所得見積もり額で判定します。


4.準確定申告の提出先・納税・還付の仕組みと予定納税の免除


■ 提出先と書類
提出する先は、相続人の住所地ではなく「被相続人が死亡したときの納税地(住所地)の所轄税務署」となります。相続人が2人以上いる場合は、原則として全員が連名で署名・押印した「確定申告書付表」を添付して提出します。



■ 予定納税の義務は?
あらかじめ前年の実績をもとに税金を前払いする「予定納税」について、死亡日がその年の6月30日を過ぎている場合は、たとえ通知書が届いていても、被相続人の死亡によって予定納税の義務は消滅します(納める必要はありません)。



■ 納税の連帯責任と、還付金の相続財産性
準確定申告で税金を納付する場合、各相続人は自分の法定相続分などに応じて按分した税額を納めます。このとき、相続によって得た財産の額を上限として、他の相続人の税金に対しても連帯債務(連帯責任)を負うことになります。逆に、税金が還付される(戻ってくる)場合、その還付金は被相続人の「未収金(財産)」として、相続税の課税対象の資産に含まれることになるため、遺産分割の対象としても忘れないようにしましょう。


5.事業や不動産を引き継ぐ場合の「主な届出書」と提出期限


被相続人が行っていた商売やアパート経営などの事業を引き継ぐ(承継する)相続人は、準確定申告とは別に、以下の各種届出書を提出する必要があります。提出先はすべて「相続人の所轄税務署」です。




  • 個人事業の開廃業等届出書: 相続開始(死亡日)から1ヶ月以内に提出します。

  • 所得税の青色申告承認申請書: 被相続人が青色申告をしていた場合でも、相続人へ自動的には引き継がれません。相続人は以下の特例期限までに提出しなければ、その年は白色申告になってしまいます。

    ・1月1日〜1月15日に死亡した場合 ⇒ その年の3月15日まで

    ・1月16日〜8月31日に死亡した場合 ⇒ 死亡日から4ヶ月以内

    ・9月1日〜10月31日に死亡した場合 ⇒ その年の12月31日まで

    ・11月1日〜12月31日に死亡した場合 ⇒ 翌年の2月15日まで


  • 青色専従者給与に関する届出書: 家族への給与を経費にするための書類です。相続開始の日(または専従者が増えた日)の翌日から2ヶ月以内に提出します。

  • たな卸資産の評価方法・減価償却資産の償却方法の届出書: 相続人が独自の評価方法や定率法などを選択したい場合は、相続した年分の確定申告期限(翌年3月15日)までに提出します。提出しない場合は、自動的に「最終仕入原価法」および「定額法」となります。


まとめ:準確定申告は4ヶ月!タイトな期限を乗り切るために


準確定申告は、相続税の申告(10ヶ月以内)よりもはるかに短い「4ヶ月以内」に完了させなければなりません。葬儀や法要、他の手続きに追われていると、4ヶ月という期間はあっという間に過ぎ去ってしまいます。


また、準確定申告で算出した最終的な所得税額は、将来提出する「相続税申告における債務(マイナスの財産)」として遺産総額から差し引くことができるため、相続税の節税にも直結しています。経費の集計や各種届出書の提出漏れで損をしないよう、お早めに専門家へご相談ください。






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