【2026年最新】山林評価額を5%カット!「特定計画山林の特例」の要件と小規模宅地特例との併用ルール
先代から引き継いだ山林は、適切な管理・維持に手間やコストがかかる一方で、相続税評価額が高額になりがちです。このように負担の大きい山林経営を次世代へ円滑に引き継ぐための支援策として、「特定計画山林の特例(とくていけいかくさんりんのとくれい)」という制度が用意されています。
この特例を活用すれば、一定の計画に基づいた山林の相続税評価額を5%減額(=100分の95で評価)することができ、相続税の負担を軽減できます。今回は、特定計画山林の特例の対象となる土地の要件や、手続きの注意点、そして最も間違えやすい「小規模宅地等の特例」との関係について、相続税専門の税理士が分かりやすく解説します。
目次
- ○ 1.「特定計画山林の特例」とは?
- ○ 2.対象となる「特定計画山林」と「引き継ぐ人」の条件
- ○ 3.申告手続きのルールと「未分割」時の注意点
- ○ 4.要注意!「小規模宅地等の特例」との併用制限ルール
- ○ まとめ:自宅と山林がある場合、特例の有利選択はプロにお任せを
1.「特定計画山林の特例」とは?
「特定計画山林の特例」とは、一定の計画区域内にある山林を相続(または生前贈与)で引き継いだ人が、その後も引き続きその山林で林業経営を行う場合、その山林の相続税評価額を「通常の評価額 × 95%」に減額して相続税を計算できる制度です。
山林の評価を5%カットできるため、評価額が数千万円単位になるような広大な山林をお持ちのご家庭にとっては、確実な節税効果を見込めるありがたい特例です。ただし、旧制度(平成21年度改正前)の非上場株式等についての納税猶予の特例の適用を受けていた場合は、この特例は使えないなどの細かな除外規定があります。
2.対象となる「特定計画山林」と「引き継ぐ人」の条件
特例の対象となる山林(特定計画山林)と、それを引き継いで特例の適用を受けられる人(特定計画山林相続人等)には、それぞれ厳格な要件が定められています。
■ 対象となる山林(特定計画山林)の要件
以下のいずれかに該当する、立木(樹木)や土地が対象です。
- 相続・遺贈で取得した場合: 被相続人が亡くなる直前に所有していた山林のうち、生前に市町村長等の認定を受けた「森林経営計画」が定められている区域内にあるもの
- 相続時精算課税(生前贈与)で取得した場合: 被相続人から相続時精算課税制度を使って贈与を受けた山林のうち、贈与を受ける前に市町村長等の認定を受けた「森林経営計画」の区域内にあるもの
■ 引き継ぐ人(特定計画山林相続人等)の要件
相続・遺贈の場合、以下のすべてを満たす必要があります(※贈与の場合は、贈与時から相続税申告期限まで保有し、計画に従い施業を続けることなどが要件となります)。
- 被相続人の親族であること
- 取得した特定計画山林について、相続開始時から申告期限(亡くなった翌日から10ヶ月以内)まで引き続き「そのすべて」を保有していること
- 相続開始時から申告期限まで引き続き、認定を受けた森林経営計画に基づき自ら施業(山林の管理・維持)を行っていること
3.申告手続きのルールと「未分割」時の注意点
この特例を受けるには、相続税の申告期限(亡くなった日の翌日から10ヶ月以内)までに、遺産の分割が確定(遺産分割協議が成立)していることが大原則です。誰が山林を引き継ぐか決まっていない「未分割」の状態では、この特例を適用して申告することはできません。
ただし、申告時に「申告期限後3年以内の分割見込書」を税務署へ提出しておき、申告期限から3年以内に無事に分割が決まった場合には、後から「更正の請求」を行うことで特例を適用し、払いすぎた税金を取り戻すことができます。
■ 申告時の必要書類
- 相続税の申告書(第11・11の2表の付表2、4など)
- 市町村長等の認定を受けた「森林経営計画書」の写し
- 森林経営計画書の「認定書」の写し
- 遺産分割協議書の写しおよび印鑑証明書(または遺言書の写し)
4.要注意!「小規模宅地等の特例」との併用制限ルール
実務上、最も注意しなければならないのが、自宅やアパートの土地の評価を最大80%下げる「小規模宅地等の特例」との関係です。原則として、この「特定計画山林の特例」と「小規模宅地等の特例」は、両方同時にフル活用することはできません。
両方の要件を満たす土地がある場合は、どちらの特例を優先して適用した方が全体の税金が安くなるか、納税者が有利な方を選択することになります。
■ 例外:小規模宅地の枠が余っている場合の「一部併用」
小規模宅地等の特例は適用したけれど、その対象とした宅地の面積が「200㎡」に満たなかった場合(限度面積の枠が余っている場合)に限り、以下の計算式で求めた金額の範囲内まで、山林の特例を併用して減額を受けることが認められています。
併用できる山林の特例限度額 = A × ( 200㎡ - B ) ÷ 200㎡
A:特定計画山林(相続・贈与で取得した対象山林)の評価額の合計
B:小規模宅地等の特例の適用を受けた宅地等の面積
まとめ:自宅と山林がある場合、特例の有利選択はプロにお任せを
「特定計画山林の特例(5%減額)」と「小規模宅地等の特例(最大80%減額)」は、減額される割合に圧倒的な差があるため、実務上はほとんどのケースで「小規模宅地等の特例」を優先して適用した方が有利になります。
しかし、自宅の土地が狭くて小規模宅地の枠(200㎡など)が余るような場合には、先ほどの複雑な計算式を使って山林の特例を部分的に併用することで、相続税をさらに限界まで引き下げることが可能です。この「枠の計算」と「有利不利のシミュレーション」は、税理士の腕の見せ所でもあります。自己判断で特例を見落として大損しないよう、申告前に必ず専門家へご相談ください。
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