【2026年最新】相続人以外の介護が報われる「特別寄与料」とは?要件や手続き、相続税の注意点を解説
長年、義理の親の介護や看病に尽くしてきた「長男の妻」など、亡くなった方の財産の維持や看護に大きく貢献したにもかかわらず、法律上の相続権がないために遺産を1円も受け取れないというケースは、従来の遺産分割において大きな不公平感を生んでいました。
このような背景から、相続人以外の親族の貢献に報いるために新設されたのが「特別の寄与(特別寄与料)」の制度です。今回は、相続人でなくても金銭を請求できる特別寄与料の仕組みや具体的な要件、そして税務上の注意点について、2026年の最新実務に沿って分かりやすく解説します。
目次
- ○ 1.特別寄与料とは?制度が新設された背景
- ○ 2.特別寄与料を請求するための要件
- ○ 3.特別寄与料の請求方法と金額の決まり方
- ○ 4.要注意!非常に短い「請求期限」
- ○ 5.特別寄与料に関する「相続税の取扱い」
1.特別寄与料とは?制度が新設された背景
従来の民法でも、被相続人の事業を無償で手伝ったり、療養看護に尽くしたりして財産の維持・増加に貢献した人に対して、遺産を多めに配分する「寄与分(きよぶん)」という制度は存在していました。
しかし、従来の寄与分を請求できるのは、あくまで法律上の「相続人」に限定されていました。そのため、高齢化社会の中で実質的に介護を一身に背負うことの多い「子供の配偶者(嫁や婿)」や「甥・姪」などの親族がどれだけ献身的に尽くしても、遺産を相続する権利は一切与えられず、不公平であると問題視されていたのです。
そこで民法が改正され、相続人ではない親族であっても、一定の貢献が認められれば、相続人に対して金銭(特別寄与料)の支払いを請求できる「特別の寄与」の制度がスタートしました。
2.特別寄与料を請求するための要件
特別寄与料を請求するためには、以下の3つの要件をすべて満たしている必要があります。
- 被相続人の「親族」であること: 対象となる親族の範囲は、法律上「6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族」と定められています。代表例である長男の妻(1親等の姻族)や、甥・姪(3親等の血族)はしっかりと含まれます。※内縁の妻など、法律上の婚姻関係・親族関係にない人は対象外です。
- 無償で療養看護その他の労務を提供したこと: 看護や介護、仕事の手伝いなどを「無償(またはこれに近い状態)」で行っていたことが条件です。対価として毎月十分な給与や小遣いをもらっていた場合は認められません。
- 特別な寄与により、財産の維持または増加があること: 本人が療養看護に尽くした結果、本来かかるはずだった介護費用の支出を免れ、被相続人の財産が減らずに済んだ(維持された)、というような因果関係(特別な寄与)が必要です。通常の親族として行うレベルの手伝いを超えた、多大な貢献である必要があります。
なお、法律上の相続人である人や、相続を放棄した人、相続権を失った(欠格・排除)人は、当然ながらこの特別寄与料を請求することはできません。
3.特別寄与料の請求方法と金額の決まり方
特別寄与料をもらうためには、まず特別寄与者が相続人に対して「これだけ介護に尽くしたので、特別寄与料を支払ってください」と直接請求をプロポーズし、話し合い(協議)を行います。
もし相続人が複数いる場合は、それぞれの相続人が「法定相続分」などの割合に応じて、特別寄与料を分割して負担することになります。
当事者間の話し合いで金額がまとまれば、その合意に基づいた金額が支払われます。法律上の上限として「遺産の総額から遺贈(遺言による譲渡)の額を差し引いた金額」を超えることはできませんが、この範囲内であれば当事者の合意次第でいくらに設定しても自由です。
万が一、親族間で話し合いがまとまらない、あるいは話し合い自体を拒否されてしまった場合は、特別寄与者は家庭裁判所に対して「特別の寄与に関する処分調停」の申し立てを行うことができます。調停でも合意に至らない場合は自動的に「審判」へと移行し、家庭裁判所が寄与の時期・方法・貢献度・財産額といったあらゆる事情を考慮して、妥当な特別寄与料の額を決定します。
4.要注意!非常に短い「請求期限」
特別寄与料を請求する権利には、非常に短い期限(消滅時効)が設けられています。後から知って悔しい思いをしないよう、以下の2つの期限に厳重に注意してください。
- 「相続の開始」および「相続人」を知った時から: 6ヶ月以内
- 相続が開始した(亡くなった)時から: 1年以内
たとえ何年間も献身的に介護を続けていたとしても、この期限を1日でも過ぎてしまうと、家庭裁判所に申し立てることも、法律に則って請求することもできなくなってしまいます。家庭内での話し合いが進まない場合は、期限が迫る前に迅速に専門家へ動くのが実務上の鉄則です。
5.特別寄与料に関する「相続税の取扱い」
特別寄与料が決定し、金銭の授受が行われた場合、支払う側(相続人)と受け取る側(特別寄与者)の双方に、以下のような相続税の手続きが発生します。
■ 受け取った側(特別寄与者)の相続税申告
特別寄与料を受け取った人は、税法上「被相続人から遺言で財産をもらった(遺贈)」とみなされ、相続税の課税対象になります。特別寄与者は通常、亡くなった方の一親等の血族(子供)や配偶者ではないため、算出された相続税額が2割増しになる「相続税の2割加算」の対象となります。特別寄与料の額が確定した日の翌日から10ヶ月以内に、単独で相続税の申告と納税を行う必要があります。
■ 支払った側(相続人)の相続税申告
特別寄与料を支払った相続人は、自分がもらった遺産の金額から、支払った特別寄与料の額を差し引いて(控除して)相続税を再計算することができます。すでに通常の相続税申告を済ませた後に特別寄与料の額が確定した場合には、支払いが発生した相続人は、税務署に対して税金を返してもらう手続き(更正の請求)を行うことができます。この更正の請求の期限は、特別寄与料が決まった日の翌日から「4ヶ月以内」となっています。
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